
「着物を着てお出かけしてみたい」
そう思っていても、夏から秋にかけては、
「まだ暑いけれど、着物を着ても大丈夫かな?」
「外をたくさん歩くのは少し心配……」
と、なかなか一歩を踏み出せない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
特に最近の9月は、秋という言葉から想像する気温とは違い、30℃をこえる日も珍しくありません。
でも、暑い時期だからといって、着物を楽しめないわけではありません。
POINT
大切なのは、「どこへ行くか」を少し工夫すること。
たくさん歩く場所ではなく、冷房のきいた美術館や水族館、落ち着いたカフェなどを選べば、残暑の時期でも着物でのお出かけを楽しみやすくなります。
そして、着物を着て出かける場所を選ぶことは、暑さ対策だけではありません。
美術館で芸術を楽しんだり、カフェでゆっくりお茶をしたり。
いつものお出かけが、着物を着ることで少し特別な一日になります。
今回は、これから着物を楽しみたい方に向けて、残暑でも比較的過ごしやすい「着物のお出かけ先」をご紹介します。
この記事でわかること
- 残暑でも着物で過ごしやすいお出かけ先
- 美術館や水族館を着物で楽しむポイント
- 着物で楽しむカフェや「ヌン活」
- 残暑の京都を無理なく楽しむ方法
- 暑い時期の着物のお出かけで気をつけたいこと
- 残暑に秋らしさを取り入れるコーディネート

残暑が残る時期に、まずおすすめしたいのが美術館です。
美術館の大きな魅力は、何といっても屋内でゆっくり過ごせること。
外を長時間歩く必要がないので、夏の着物初心者でも挑戦しやすいお出かけ先です。
館内で作品をゆっくり眺めながら過ごせるので、暑い日の着物のお出かけにもぴったりです。
エントランスから展示室に至るまでの大ホールは、地元岡山でとれる万成石を使っており
洗練されたモダンな空間でありながら、展示室内の美術品の余韻を引き立てる上質な余白。
岡山市街地のなかで、アートと自分とに向き合える場所です。
美術館は、着物との相性もとても良い場所。
静かな館内で作品を眺めていると、普段よりもゆっくり時間が流れているような気持ちになります。
「着物を着たら、どこへ行けばいいの?」
そんな方には、まず美術館をおすすめしたいと思います。
竹久夢二の作品を楽しめる夢二郷土美術館も、着物で訪れたい場所の一つです。
旭川沿いにあり、近くには後楽園・岡山城と景観もばっちり。
また、竹久夢二は、大正時代を代表する画家で「夢二式美人」と呼ばれる着物姿などの美人画を多く残したことで知られています。
そして夢二の画業は、雑誌の挿絵に始まり、便せんや手ぬぐいといった日用品のデザインにまでも及び、
浴衣や半衿のデザインも手掛けています。
夢二のデザインした斬新で小物と、「夢二式美人」像は、大正時代の女学生たちの間で大流行。
夢二は、「大正ロマン」の立役者、ともいえます。
夢二の作品が持つ大正ロマンの雰囲気と、着物姿は当然とてもよく合います。
着物を着ていると、いつもの美術館とは少し違った気分を味わえるかもしれません。
「せっかく着物を着るなら、着物が似合う場所へ行ってみたい」
そんな方にもおすすめです。
鑑賞後は、ミュージアムカフェで夢二が友人たちをもてなしたという紅茶とガルバルジィでティータイム。
夢二の世界に浸る時間を過ごせます。
古代オリエントの美術品などを見ることができる岡山市立オリエント美術館。
きものなのに、オリエント美術?
と思う方もいるかもしれません。
しかし、きものと古代オリエント美術は、実はとても相性がいいのです。
きものでも、「コプト模様」や「エジプト柄」として、オリエント世界のモチーフが使われています。
展示品を見ながら、
この柄の帯があったら素敵かも
こんな模様の着物がいいな
と、着物のデザインを考えながら、展示を鑑賞するのも楽しみ方の一つです。
岡山市立オリエント美術館に行ったら、ぜひ体験指定だたきたいのが館内2階の「光庭」。
ガラス張りの天井まで吹き抜けになっており、光の差し込む開放感のある空間の中心には噴水。
古代の広場を思わせる空間に水音が響き、古代オリエント美術が発する人類の根源的なパワーや、古代世界の果てしない奥行きに思いをはせることができます。

「せっかく着物を着るなら、いつもより少し遠くへ行ってみたい」
そんな方は、日帰りのお出かけもおすすめです。
ただし、残暑の時期は「たくさん歩く観光」よりも、屋内施設を中心にした予定にするのがポイント。
移動の時間や休憩場所も考えながら、無理のない予定を作りましょう。

着物でのお出かけ先として人気の高い場所の一つが、島根県安来市の足立美術館です。
日本画家の大家・横山大観の作品を中心とした絵画と、計算しつくされた絵画のような日本庭園を楽しむことができます。
美しい庭園と美術作品を楽しめるため、着物姿との相性も抜群。
「日本庭園と着物」という組み合わせは、写真に残してもとても素敵です。
室内から庭園を眺められるので、着物を着ていても安心して世界一の日本庭園を楽しむことができます。
水や光をテーマにした幻想的な空間を楽しめる「天空のアクアリウム ソラキン」。
水のきらめきや光を感じられる空間は、見ているだけでも涼しい気分になります。
夏の着物は、見た目にも「涼しさ」を取り入れるのがおしゃれのポイント。
水のような青や淡い色の着物、小物を合わせても素敵です。
もちろん、残暑の時期なら、秋を感じる色を取り入れても。
「涼しく見せる」と「秋らしく見せる」を両方楽しむ。
そんな残暑ならではのコーディネートも楽しんでみてください。
神戸にある都市型アクアリウム「アトア」は、アートと水族館を組み合わせたような空間を楽しめる場所。
屋内で楽しめるため、暑い時期のお出かけ先としても考えやすいスポットです。
水族館というと「子どもと行く場所」というイメージがあるかもしれません。
でも、大人同士でゆっくり楽しむ水族館も素敵です。
着物で訪れて、水槽の前で写真を撮る。
その後は涼しい店内でランチやお茶を楽しむ。
そんな少し大人のお出かけもおすすめです。

「着物で出かけたいけれど、長時間歩くのは心配」
そんな方におすすめしたいのが、カフェやレストランで過ごすお出かけです。
最近は、アフタヌーンティーなどを楽しむ「ヌン活」も人気。
着物を着てお茶をするだけでも、普段とは違う特別な時間になります。

倉敷美観地区にあるthe 華紋。
倉敷らしい落ち着いた雰囲気の中でアフタヌーンティーを楽しむお出かけは、着物との相性も良いですね。
美観地区といえば、町並みを歩くことも楽しみの一つ。
ただし残暑の時期は、外を歩き続けないようにすることが大切です。
「お店でゆっくり過ごすこと」を中心に。
暑さが落ち着いた時間だけ少し散策する。
そんな楽しみ方なら、無理をせず倉敷の町並みも楽しめます。

少し特別な食事を楽しみたいなら、島根県安来市のお店を訪れる日帰り旅も素敵です。
仏蘭西料理 別邸母里は、オーベルジュ内のフレンチ料理店。
足立美術館の近くのため、美術館に行ってからこちらでお茶会もおすすめですよ。
実際に、紀久屋の着物でのおでかけ会でも、アフタヌーンティーを召し上がったお客様から
「これ以上のアフタヌーンティーはないかもしれない」というお言葉もいただいています。
素敵な空間での食事は、着物を着る理由にもなります。
「今日は着物を着て、少し特別なアフタヌーンティーを楽しもう」
そんな小さな予定を作るだけでも、着物を着る機会はぐっと増えていきます。
日本庭園を眺めながら食事やお茶を楽しめる相楽園 THE SORAKUEN。
日本庭園と着物は、やはりよく似合います。
庭園を楽しみながら、店内では涼しくゆっくり。
そんな「外と中」のバランスを考えたお出かけなら、残暑の時期にも取り入れやすいでしょう。
着物初心者の方は、まず「着物を着てお茶をする」くらいの短いお出かけからでも十分です。
最初から一日中歩き回る必要はありません。


「いつか着物で京都へ行ってみたい」
着物に興味を持った方なら、一度はそんなことを考えたことがあるのではないでしょうか。
京都は着物が似合う場所がたくさんあります。
ただ、残暑の時期に京都の町を一日中歩くのは、着物初心者には少し大変です。
そこで、京都に住んだ経験があるスタッフが、住んだことがあるから知っている京都の過ごし方をお伝えします!
夏は暑く、冬は厳しい寒さの京都。
おすすめなのが、「屋内施設+カフェ」の組み合わせです。
京都には、さまざまなスポットとたくさんのカフェがあります。
その中でも、今回は街中なのにゆっくりできる、そして「京都」を感じることができるオススメスポットをお伝えします。

京都の歴史や文化、美術にふれられる京都文化博物館。
写真の旧日本銀行京都支店の建物を利用した別館と新館からなります。
さまざまな企画展はもちろん、京都にまつわる展示を行う総合展示も魅力的です。
京都の歴史、文化、美術・工芸品などを紹介しています。
より「深い京都」に触れられるオススメスポットです!
観光スポットに行くのも楽しいですが、着物を着るなら、
聖地・京都の歴史と文化に触れると、より着物の事も楽しめるようになりますよ!
館内でゆっくり過ごせるので、暑い日の京都旅にも取り入れやすい場所です。
「せっかく京都に来たら、いろいろな場所へ行かなくては」
と考えなくても大丈夫。
一つの場所をゆっくり楽しむことも、着物旅の楽しみ方です。
「清水寺に、金閣寺。嵐山と、伏見稲荷にもいかなきゃ!」と、
有名スポットをめぐる京都旅行をされる方もいますが、着物を着るなら移動が多いのは不便なことが多いです。
着物を着て京都に行くなら、一つのスポットをゆっくりと、余裕をもって楽しむのが、大人なきもの京都の過ごし方。
着物を着て美術や文化にふれることで、いつもの旅行とは少し違った京都を感じられるかもしれませんよ。
館内でカフェタイム
美術館や博物館を楽しんだ後は、館内や近くのカフェでひと休み。
冷たい飲み物を飲みながら、今日の感想を話す時間も旅の大切な思い出になります。
ただし、冷たい飲み物を着物で飲む時には少し注意を。
グラスやカップについた水滴が着物に落ちないよう、大判のハンカチなどを用意しておくと安心です。
京都を代表する老舗喫茶店の一つ、イノダコーヒー本店。
京都らしい雰囲気を感じながら、ゆっくりコーヒーを楽しむ時間は、着物での旅にもよく合います。
京都文化博物館から歩いてすぐのため、こちらに足を伸ばしてみてもいいですよ。
無理のない京都旅の一例
「美術館で芸術を楽しむ」
↓
「カフェで休憩する」
↓
「早めに帰る」
このくらいの無理のない予定でも、十分に京都旅行を楽しめます。
着物のお出かけでは、予定を詰めすぎないことが、実は一番のおしゃれなのかもしれません。
ここまで、残暑でも楽しみやすいお出かけ先をご紹介しました。
でも、どれだけ涼しい場所を選んでも、着物での外出には暑さへの準備が必要です。
特に着物初心者の方は、「着物そのもの」だけでなく、着付けをするところから暑さ対策を始めることを覚えておきましょう。
着付けを始める前に、汗をかいていることはありませんか?
夏は、少し動いただけでも汗が出ます。
着付けをする前に、汗拭きシートなどで首や背中、わきなどの汗をやさしくぬぐっておきましょう。
そして、冷房や除湿機能を使って、部屋を涼しくしてから着付けを始めます。
特に9月は、秋雨前線や台風の影響で湿度が高くなることがあります。
気温がそれほど高くなくても、湿度が高いと汗が引きにくく、着付けをしているだけで暑く感じることも。
POINT
「室温だけでなく、湿度も整える」
これだけでも着付け中の快適さが変わります。
暑い時には保冷剤を使いたくなりますよね。
ただし、着物を着る時には注意が必要です。
保冷剤を背中や腰、お腹など、着物を着た後にすぐ取り出せない場所へ入れるのはおすすめできません。
冷やしすぎることで、凍傷につながるおそれがあるためです。
また、保冷剤は時間がたつと結露します。
水分が絹の着物や帯につくと、しみの原因になることがあります。
使う時は、必ずハンカチなどの布で包みましょう。
そして、首元や手首など、すぐに外せる場所で使うようにします。
POINT
「体を涼しくすること」と「着物を守ること」
この二つをどちらも大切にすることが、着物で夏を楽しむコツです。
着物を着ていると、思っている以上に汗をかきます。
「それほど暑くないから大丈夫」と思っていても、こまめに水分をとりましょう。
外を歩く予定がある日は、日傘や扇子、ハンディファンなども活用します。
そして、少しでも「暑い」「疲れた」と感じたら、早めに休憩してください。
着物を楽しむために、無理をしない。
これが一番大切です。
残暑の時期の着物選びでは、もう一つ楽しみがあります。
それが、秋を先取りしたコーディネートです。
まだまだ暑いからこそ、着物や帯、小物に秋の色や秋のモチーフを取り入れてみましょう。
紅葉や秋の草花を思わせる柄を取り入れるのも素敵です。
残暑コーディネートの考え方
中は涼しく、見た目は秋らしく。
この考え方なら、今の気候にも合わせやすくなります。
「まだ夏なのに秋の色?」と思うかもしれません。
でも、着物のおしゃれでは、季節を少し先取りするのも楽しみの一つ。
残暑の時期だからこそできる、季節感のある着こなしです。

夏から秋に変わる時期。
「暑いから、着物はもう少し涼しくなってから」
そう思ってしまうのも無理はありません。
でも、着物を着ることをあきらめる必要はありません。
残暑の時期は、
など、涼しく過ごせる場所を選ぶことから始めてみましょう。
そして、外を歩く時間を短くしたり、休憩を多めにしたりすることも大切です。
着物の暑さ対策については、以前の記事「夏の着物の暑さ対策」でも詳しくご紹介しています。
こうした小さな工夫を重ねることで、着物でのお出かけはもっと身近なものになります。

着物は、特別な日にしか着てはいけないものではありません。
そんな、いつものお出かけを少し特別にしてくれるのが着物です。
「着物を着てみたいけれど、まだ一人では不安」
「家にある着物をどう着ればいいかわからない」
「夏に着るなら、どんな肌着や長襦袢がいい?」
そんな時は、どうぞ一人で悩まないでください。

紀久屋では、着物をもっと気軽に楽しんでいただけるよう、無料着付け教室も行っています。
着物の着方だけでなく、暑い時期の着付けや小物の使い方、今持っている着物の楽しみ方なども、ぜひ気軽にご相談ください。
今年の残暑は、涼しい場所を選んで。
少し秋を先取りした着こなしで。
まずは近くの美術館やカフェから、着物のお出かけを始めてみませんか?
着物を着ると、いつもの一日が少し特別になる。
そんな楽しさを、ぜひ見つけてみてください。

(定休日:毎週火曜日)
岡山本店:086-232-7766
倉敷店:086-422-2100
津山店:0868-32-5298
四万十店:0880-31-2150