
岡山もすっかり春めいてきましたね。これからの季節は、
着物でのお出かけが一年で最も心地よい時期です。
風情ある倉敷の美観地区を歩いたり、春のお茶会に足を運んだりと
心弾む計画を立てていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
着物に興味を持ち始め、雑誌を読んだり動画を見ていると、
必ずと言っていいほど目にする言葉があります。
そでが、
「一重太鼓」「二重太鼓」そして、
「名古屋帯」「袋帯」というワードです。
言葉自体はなんとなく聞いたことがあるけれど、正直何が違うのかよく分からない...
普段のお出かけにはどっちにすればいいの?と、頭の中にハテナが浮かんでそのままになっている方も多いはず。
スタッフの私自身も、入社するまでは聞いたことがありませんでした。
これってどう使い分けるんだったっけ.....と先輩スタッフによく質問していました。
今回は名古屋帯と袋帯の違い、一重太鼓と二重太鼓の使い分けについて、
わかりやすく解説していきたいと思います。
ご自宅に帯があるという方は、ぜひお手元に広げて確認しながらご覧ください。
名古屋帯と袋帯の決定的な違い
結び方の違いについてお話しする前に、まずは帯そのものの違いについて知っておくと覚えやすいです。
代表的なものが名古屋帯と袋帯です。
この二つは、見た目や作りに明確な違いがあります。
大きな違い一つ目は、
帯の長さです。
名古屋帯の長さは、3m60cm前後で作られています。
これに対して、袋帯はなんと4m20cm以上もあるのです。
袋帯の方が60cm〜1mほど長くできているのです。
この長さの違いこそが、後ほど説明する結び方の違いに直結する重要なポイントになります。
大きな違い二つ目は、
帯の形(仕立て方)です。
袋帯は表地と裏地を縫い合わせて、端から端まで同じ幅に仕立てられています。
昔は本当に丸い筒状に織り上げられていた歴史があり、
それが名前の由来ともなっています。
重厚感があり、全体的にしっかりとした作りになっているのが特徴です。

一方、名古屋帯は少し変わった形をしているものが多いことにお気づきでしょうか。
背中のお太鼓になる部分は広い幅のままですが、胴に巻く部分から先は、
あらかじめ半分におられた状態で縫い閉じられています。
実は、大正時代に名古屋の女学校の先生が考案したと言われる画期的なアイデアなのです。
女性の社会進出が進み始めた大正時代。
毎回自分で帯を半分に折ってから身体に巻く手間を省き、
もっと簡単に一人でも帯が結べるようにという願いから生まれました。
実用性に特化した当時の女性たちの知恵が、
現代でも名古屋帯という形で受け継がれているのですね。
一重太鼓と二重太鼓 結び方の構造と特徴
着物を着た時、背中に作る四角い箱のような結び方をお太鼓むすびと呼びます。
そして、このお太鼓結びの中に「一重太鼓」と「二重太鼓」という二種類があります。
結論からお伝えすると、
短い帯である
名古屋帯を使って結ぶのが
一重太鼓であり、
長さのある
袋帯で結ぶのが
二重太鼓となります。
使う帯の種類によって、結び方が変わるという法則です。
では、なぜ一重、二重という名前がついているのでしょうか。
それは、背中のお太鼓部分の生地の重なり方を見れば一目瞭然です。
名古屋帯は幅広い部分が短いため、お太鼓部分の生地が一枚だけで構成されています。
これが一重太鼓と呼ばれる理由です。

一方で、袋帯は4m以上と非常に長く作られています。
そのため、一重太鼓と同じように一回だけ帯を折り曲げるだけでは
長さが余ってしまい、綺麗なお太鼓の形を作ることができません。
そこで、背中のお太鼓部分を二枚重ねにして作るのです。
横から見ると生地がぴったりと二枚に重なっている様子がお分かりいただけます。
これが二重太鼓と呼ばれる理由です。

二つの違いは、帯の種類と結び方にあるのです。
結婚式などでの式典でお着物を着ている方を見かける機会があれば、
お太鼓の横側を少し意識して見てみてください。
帯が二枚重なっていれば、それが袋帯を使った二重太鼓結びであることがわかります。
違いを知っておけば、より深い視点で着物を楽しめるようになりますよね。
二重太鼓に込められた美しい願い
袋帯は長いから二重に結ぶ、と説明しましたが、
単なる機能性だけではない深い意味が込められています。
一重の方が楽なのでは....と思った方もいるでしょう。
ですがそこには日本が誇る素晴らしい意味が隠されているのです。
袋帯で二重太鼓にする場面というのは、結婚式や披露宴、
お子様の入学式や卒業式、あるいは格式高い式典・パーティーなど、
いわゆるフォーマルなお祝いの席になります。
そのような特別で喜ばしい日に、なぜ帯を二重にするのでしょうか。
それは、この素晴らしい喜びや幸せが幾重にも(二重に)重なりますように...という
祝福の気持ちと願いが込められているからなのです。
言葉にして伝えるだけでなく、身にまとう帯の結び方にまで
相手の幸せを願うメッセージを忍ばせる。
この奥ゆかしく情深い日本人の心意気に触れると、
着物という文化がいかに相手を思いやる心で作られてきたのかを感じずにはいられません。
したがって、二重太鼓(袋帯)は豪華で華やかという理由だけでなく、
幸せが何重にも続くようにという祈りを背負って結ぶという、
非常に格式の高いものとされています。
合わせる着物も当然ながら礼装や準礼装と呼ばれるフォーマルなものが中心です。
既婚女性の第一礼装であり、裾に美しい模様が広がる黒留袖や色留袖。
胸元や袖にも華やかな柄が描かれる訪問着、
色無地や付け下げなどにもよく合わせられます。
金糸や銀糸がふんだんに織り込まれており、
重厚感のある袋帯で二重太鼓をキリッと結んだ着姿は、
お祝いの席にふさわしい品格を漂わせ、
まわりの空気をパッと華やかに彩ってくれます。
軽やかに日常を彩る名古屋帯の楽しさ
一重太鼓、つまり名古屋帯が活躍する場面は、カジュアルに軽やかに
日常のおしゃれを楽しむことにあります。
結婚式のような格式張った場所ではなくご友人とのランチや観劇、
美術館巡り、お買い物、あるいはお稽古事など、
式典ではなく普段のお出かけを彩るのに最適なのが名古屋帯なのです。
金銀の糸を使った重厚な織りの袋帯とは違い、
名古屋帯はデザインの自由度が非常に高いのが魅力です。
季節の草花が美しく染められているものや、
粋な幾何学模様、可愛らしい動物の絵など、見ているだけで心躍るような
遊び心にあふれた帯がたくさんあります。
そして何より、袋帯より短く一重だけでお太鼓結びをするため、
背中に感じる重さや胸周りの圧迫が少なく、長時間結んでいても
疲れにくいという素晴らしいメリットがあります。
美味しいお食事を楽しんだり、たくさん歩いて景色を堪能したりする日には、
体に負担のかかりにくい名古屋帯がおすすめです。
名古屋帯に合わせる着物は、全体に細かい柄が繰り返し描かれている小紋や、
糸の風合いが温かく気取らない紬など、普段着からちょっとしたお出かけ着と
呼ばれるものが中心となります。
洋服で例えるなら...
袋帯 → 特別な日に着るドレスとハイヒール
名古屋帯 → お気に入りのワンピースに合わせる、歩きやすくてフラットなシューズ
「今日はこの紬に、季節を先取りした柄の名古屋帯を合わせて美術館へ行こう!」
のようにご自身の感覚で自由にコーディネートを考える時間は、
着物ならではの贅沢な楽しみの一つですね。
迷ったときは紀久屋の着付け教室へ!
袋帯(二重太鼓)は
フォーマルに、
名古屋帯(一重太鼓)は
カジュアルに、
という基本的なルールをお伝えしてきました。
しかし、いざ家のタンスを開けて着てみようと思っても、
「これはこの着物に合わせていいんだろうか?」
「これは名古屋帯なのかな?」など、判断が難しいものもあるのが
着物の世界の奥深いところでもあります。
全体に柄のある小紋のような着物なのに、豪華な金彩が施されていて
袋帯でいいのか迷ったり、
反対に袋帯なのに金銀の糸がなくカジュアルな柄行きのものがあったり....
基本的なルールを覚えることも大切なのですが、
それと同時に例外のものも存在するため、
「この着物と帯は組み合わせていいのだろうか?」
「この帯はどの程度のお出かけまで結んでいけるのか...?」
と再び迷子になってしまう方も少なくありません。
インターネットで検索して正解を探すのも一つの方法ですが、
着物や帯はどれも職人さんの手作りであり、ひとつずつ表情が異なります。
着用される方の年齢や行き先によっても正解は変わってくるのです。
もしご自宅でコーディネートに迷って行き詰まってしまった時、
そんな時こそ紀久屋の
無料着付け教室の出番です!
紀久屋の着付け教室では、ただ着物の着方や帯の結び方の手順を覚えるだけではありません。
「この着物にはどの帯を合わせるの?」
「季節ごとのルールってどんなのがあるの?」といった、
コーディネートやTPOについての知識も、
着付けの技術と一緒に楽しく学ぶことができます。
ご自宅からお持ちいただいた着物一式を先生が実際に拝見して、
結婚式や入学式に自信を持ってお召しいただける格調高い組み合わせや、
後楽園でのお散歩にぴったりの軽やかなカジュアルコーデなど、
皆様の大切な着物が一番輝く場面を丁寧にお伝えいたします。
「こんな初歩的なこと聞いてもいいのかな...」と悩む必要はありません!
教室には同じように着物の知識ゼロから始めた生徒さんもたくさんいらっしゃいます。
和気あいあいとした雰囲気の中で、楽しく着物の知識を深めていくことができますよ。
一重太鼓と二重太鼓。名古屋帯と袋帯。
最初は難しく感じられた言葉たちも、
その意味や歴史、込められた願いを知ることで、
着物を着るということがより一層深く心豊かなものになるはずです。
お花見シーズンはもうすぐそこまで来ています!
今年こそは自分のお気に入りの着物を帯をまとって、
心地よい風を感じながらお出かけを楽しんでみませんか?
紀久屋の着付け教室は、皆様の着物を楽しみたいという気持ちを
全力でお手伝いいたします。
教室で皆様にお会いできることを、スタッフ一同心よりお待ちしております♪
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