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無料きもの着付教室|岡山・倉敷・津山・四万十市・高知の着物専門店、紀久屋

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紀久屋スタッフブログ

4枚こはぜと5枚こはぜ
2017年11月22日
先日、足袋をお買い求めにご来店してくだっさったお客様から
4枚こはぜと5枚こはぜは何が違うの?」とご質問を受けました。
確かに、わざわざ表記されていれば気になるのは当然のこと。
私も紀久屋に入社するまで、「こはぜ」というもの自体分からず、枚数に違いがあることすら気づいていませんでした。

そもそも「こはぜ」というのは、足袋を履くとき留める金具のことです。
その留め金の数が4つならば4枚こはぜ、5つならば5枚こはぜと言います。
簡単に違いを言うと、こはぜが1つ多い分、5枚の方が足袋の高さが高くなります。
その分肌が見えなくなりますね。それだけの違いです。

それでは、その二つをどう使い分けるのか。
着物には、礼装用の着物(留袖・振袖・訪問着など)と普段着用の着物(小紋・紬など)があります。
それらの中でも、礼装用の場合はあまり肌を露出しないほうが良いと言われています。
そのため、礼装用には5枚こはぜの足袋を使うことが多く、その反対に4枚こはぜは普段着用として使われることがほとんどです。
また、日本舞踊など踊りの場合も5枚こはぜを使うことが多いです。

一応使い分けがあると言っても、「結婚式で少し履くだけだから」と言われる方や、
「見えるものでもないから」と正式な場でも4枚こはぜを履かれる方もいらっしゃいます。
昔と違い、テーブル席での結婚式が増えているので、足元が見えることもあまりありません。
そのため、使い分けもそこまできっちりしなくなってきているように感じます。

そもそも足袋は、足を覆い包む和装小物。
昔はほとんどが革製で、指先が割れていない形でしたが、室町時代以後に現在の形になりました。
こはぜも元禄年間から現れ、それ以前は紐で結んだ紐足袋が用いられていました。
留め金ではなく、紐で固定していたのですね。

かつて足袋は季節によって裏地の素材を変えて履いていたようで、
春秋は木綿、夏は表が麻で裏が薄い木綿、冬は裏地がネルというように足袋も衣替えしていました。
足元は、冷えたりむれたりと温度調節が大切になってくるので、昔から工夫されていたのですね。
現在では、ネルの裏地は少なくなりましたが、 ネルよりもあたたかいフリース素材の裏地のものがでていたりと、
今尚進化していっているのを感じます。

ちなみに、現在よく使われている足袋の素材の種類は
・綿キャラコ…縦糸・横糸の打ち込み本数が同数の平織。伸縮性はほとんどないが、形がくずれにくく、かっちりとした履き心地の高級生地。
・綿ブロード…縦糸の方が打ち込み本数が多い綾織。こちらも伸縮性はほとんどないが、キャラコよりも動きやすさに優れているため、普段履きや踊りのお稽古など、一番多く使われている。
・テトロンブロード…綿とポリエステルの混合素材。伸縮性はほとんどないが、綿100%のものに比べて耐久性があるため、仕事や業務として履く人向け。

あとは、ポリウレタンやナイロンを使ったストレッチ足袋があります。
上に挙げた3種類に比べて、伸縮性が非常に高く、長時間履かれる方や履きなれない方には最適です。
私も、初めてストレッチ足袋なるものを履いた時は、全然痛くならないと感動したのを覚えています。
ちなみに、今もストレッチ足袋を愛用中です。
しかし、綿のパリッとした履き心地や見た目は、やはりストレッチ足袋とは全然違うので、
着物を着なれた方などからは、綿タイプのものが今も変わらず愛されています。

一口に「足袋」と言っても、柄足袋・色足袋、素材や厚みなど種類も豊富で、そこからお洒落を楽しまれる方もいらっしゃいます。
どんな時でも「やっぱり白足袋!」という方もいらっしゃれば、
足元に遊びごころをと「今日は柄足袋で!」という方がいらっしゃったり、
TPOにさえ気を配れば、足袋も自由度が高いのです。

小物でお洒落を楽しむなど、着物は色々なところから自分なりの着方や、自分を表現することができたりします。
小物も含めて、着物を楽しむのもいいですね。