紀久屋スタッフブログ
2019年06月05日
5月21.22日は紀久屋全店舗お休みをいただきまして、
年に一度の研修旅行に行ってまいりました。
今回は京都へ。
着物といえば京都!とイメージされる方も多いかもしれません。
私も、京都は着物の聖地みたいな感覚が何処かにあります。
確かに、今尚たくさんの伝統技術が受け継がれ、着物をはじめ、日本の伝統文化をしっかりと残していっている県の一つ。
そんな京都にて今回は、
「臈纈染め(ろうけつぞめ)」
「摺り友禅(すりゆうぜん)」
「金彩友禅(きんさいゆうぜん)」
「京紅型(きょうびんがた)」
「西陣織(にしじんおり)」
を学ばせていただきました。
盛りだくさん!
その中から、まずは「臈纈染め」「摺り友禅」について今日はお話しようと思います。
「臈纈染め(ろうけつぞめ)」
臈纈染めとは…蝋に樹液を混ぜ、模様を描いて浸染し、蝋を落として文様を出す染法。
蝋がひび割れを起こすことで、染め上がりに深い「味わい」がでるのが特徴。
今回は、日展作家でもある丹下雄介さんのアトリエギャラリーにてお話を伺いました。
〈臈纈染めができるまで〉
1.図案作成・下絵あたり
2.第1回地染め(下染め)
3.1回目 蝋伏せ
4.第2回 地染め(地色)
5.2回目 蝋伏せ(堰出し)
6.第3回 地染め(シルエット中色)
7.3回目 蝋伏せ(堰出し)
8.第4回 地染め(シルエット濃色)
9.脱蝋(キハツ洗い)・蒸し(染料定着)・水洗
10.蝋吹雪(蝋タタキ)
11.第5回 地染め(目引き)
12.脱蝋・蒸し・水洗・仕上げ整理
13.染め上がり
丹下さんによると、友禅との大きな違いは、友禅がもちのりで防染しているのに対し、臈纈は蝋で防染していることと。
当たり前のこととはいえ、何で防染しているかによって全然雰囲気は違います。
もちのりの友禅の方が、色の境目がぼんやりと優しい雰囲気なのに対して、臈纈は境目がはっきりとモダンな印象。
また、友禅が、描くようにそれぞれ色をつけていくのに対して、臈纈は重ね色。
蝋は防染した境目がはっきりしますが、生地の表面を覆うようなイメージなので、どうしても全体には染まっていくそう。
そのため、色を重ねていくことで色分けしていくので、色数は少ないというわけなのです。
しかし、色彩がとても鮮やなので、見学させていただいた時も全然そんな印象はありませんでした。
むしろ、その色づかいや鮮やかさが絵画を見ているような…。
伝統技術をきちんと継承しながらも、現代の人の心に響くような表現をされていたのが素敵だなと感じました。
「摺り友禅(すりゆうぜん)」
摺り友禅とは…何枚もの型紙を使用し、彫られた部分に刷毛(はけ)で色を摺りこませることで、ひとつの柄を表現する技法。
そんな摺り友禅に関しては、都摺浪漫をされている杉匠さんにお邪魔しました。
〈摺り友禅ができるまで〉
1.図案
2.着色
3.下絵描き
4.型彫り ※型彫りは彫師の手により彫り上げられる。
5.絵摺り(型紙確認)
6.染料の調合案
7.生地見本どり(配色確認)
8.白生地検反
9.地張り ※継ぎ目のない一枚板を生地に張り付ける作業。
10.摺り友禅 ※型板の枚数分繰り返していく。
11.蒸し
12.引き染
13.蒸し
14.水洗い(友禅流し)
15.地直し
16.湯のし
17.仕上げ
今回は、実際に摺り友禅を行っている工房も見せていただきました。
型紙とずれてしまってはいけないので、上記の工程9「地張り」を行ったのがこのような状態。
ここから、型紙を合わせていきます。
たくさんある刷毛から職人さんがその時合う刷毛を選び
手早く摺っていきます。一つの柄に対して何枚、多い時では何十枚と型を変え乾かして摺ってを繰り返して…
このような鹿の子絞りも“摺り”で表現できてしまうのです。
手描きに見える文字や絵も全て、型紙を繰り返し摺ることで表現するのですから、本当に驚きました。
私自身、“型を使う”と聞くと、なんとなく手描きよりも楽そうだなんて…お恥ずかしい話そんなふうに思っているところがありましたが、そんなことは払拭されました。
想像で勝手に思い込んでしまうもうのではありませんね、大変失礼いたしました。
実際に摺り友禅をやっているところ、作品を見せていただくと、むしろ手で描いた方が早いのではないかと思うくらいのものもありました。
また、型だと量産的なイメージもあるかとは思いますが、職人さんの手で一つづつ摺られていく様子を見れば、たとえ同じ柄でも一点物には変わりなく、また職人さんによっても色の濃さや摺り方でそれぞれの個性が出てくるそうで、一枚一枚に想いが込められていることにかわりはないのだなと、改めて感じました。
さて、研修旅行ブログ第一弾はここまで。
なのですが、ちょっと余談を…
こうやって工房見学などさせてもらっている中で、職人さんや作家さんのお話を聞いていると、皆さんとても目がきらきらされていて、お若いなと。
これは私の実感で、研修を受ける中で私が一人思ったことなのですが、
一つのことに対して追求し、もっとよくするにはと常に探究心を持たれているからなのか、皆さんとてもきれいな目をされているなと思いました。
その目の輝きが作品にも反映されているような…目は口ほどにものをいう…。
私も、そんな探究心を忘れず、キラキラな瞳で年を重ねていきたいななんて思っておりました。
こんな感じでしめてしまいましたが、研修ブログ第二弾もお楽しみ!!
年に一度の研修旅行に行ってまいりました。
今回は京都へ。
着物といえば京都!とイメージされる方も多いかもしれません。
私も、京都は着物の聖地みたいな感覚が何処かにあります。
確かに、今尚たくさんの伝統技術が受け継がれ、着物をはじめ、日本の伝統文化をしっかりと残していっている県の一つ。
そんな京都にて今回は、
「臈纈染め(ろうけつぞめ)」
「摺り友禅(すりゆうぜん)」
「金彩友禅(きんさいゆうぜん)」
「京紅型(きょうびんがた)」
「西陣織(にしじんおり)」
を学ばせていただきました。
盛りだくさん!
その中から、まずは「臈纈染め」「摺り友禅」について今日はお話しようと思います。
「臈纈染め(ろうけつぞめ)」
臈纈染めとは…蝋に樹液を混ぜ、模様を描いて浸染し、蝋を落として文様を出す染法。
蝋がひび割れを起こすことで、染め上がりに深い「味わい」がでるのが特徴。
今回は、日展作家でもある丹下雄介さんのアトリエギャラリーにてお話を伺いました。
〈臈纈染めができるまで〉
1.図案作成・下絵あたり
2.第1回地染め(下染め)
3.1回目 蝋伏せ
4.第2回 地染め(地色)
5.2回目 蝋伏せ(堰出し)
6.第3回 地染め(シルエット中色)
7.3回目 蝋伏せ(堰出し)
8.第4回 地染め(シルエット濃色)
9.脱蝋(キハツ洗い)・蒸し(染料定着)・水洗
10.蝋吹雪(蝋タタキ)
11.第5回 地染め(目引き)
12.脱蝋・蒸し・水洗・仕上げ整理
13.染め上がり
丹下さんによると、友禅との大きな違いは、友禅がもちのりで防染しているのに対し、臈纈は蝋で防染していることと。
当たり前のこととはいえ、何で防染しているかによって全然雰囲気は違います。
もちのりの友禅の方が、色の境目がぼんやりと優しい雰囲気なのに対して、臈纈は境目がはっきりとモダンな印象。
また、友禅が、描くようにそれぞれ色をつけていくのに対して、臈纈は重ね色。
蝋は防染した境目がはっきりしますが、生地の表面を覆うようなイメージなので、どうしても全体には染まっていくそう。
そのため、色を重ねていくことで色分けしていくので、色数は少ないというわけなのです。
しかし、色彩がとても鮮やなので、見学させていただいた時も全然そんな印象はありませんでした。
むしろ、その色づかいや鮮やかさが絵画を見ているような…。
伝統技術をきちんと継承しながらも、現代の人の心に響くような表現をされていたのが素敵だなと感じました。
「摺り友禅(すりゆうぜん)」
摺り友禅とは…何枚もの型紙を使用し、彫られた部分に刷毛(はけ)で色を摺りこませることで、ひとつの柄を表現する技法。
そんな摺り友禅に関しては、都摺浪漫をされている杉匠さんにお邪魔しました。
〈摺り友禅ができるまで〉
1.図案
2.着色
3.下絵描き
4.型彫り ※型彫りは彫師の手により彫り上げられる。
5.絵摺り(型紙確認)
6.染料の調合案
7.生地見本どり(配色確認)
8.白生地検反
9.地張り ※継ぎ目のない一枚板を生地に張り付ける作業。
10.摺り友禅 ※型板の枚数分繰り返していく。
11.蒸し
12.引き染
13.蒸し
14.水洗い(友禅流し)
15.地直し
16.湯のし
17.仕上げ
今回は、実際に摺り友禅を行っている工房も見せていただきました。
型紙とずれてしまってはいけないので、上記の工程9「地張り」を行ったのがこのような状態。
ここから、型紙を合わせていきます。
たくさんある刷毛から職人さんがその時合う刷毛を選び
手早く摺っていきます。一つの柄に対して何枚、多い時では何十枚と型を変え乾かして摺ってを繰り返して…
このような鹿の子絞りも“摺り”で表現できてしまうのです。
手描きに見える文字や絵も全て、型紙を繰り返し摺ることで表現するのですから、本当に驚きました。
私自身、“型を使う”と聞くと、なんとなく手描きよりも楽そうだなんて…お恥ずかしい話そんなふうに思っているところがありましたが、そんなことは払拭されました。
想像で勝手に思い込んでしまうもうのではありませんね、大変失礼いたしました。
実際に摺り友禅をやっているところ、作品を見せていただくと、むしろ手で描いた方が早いのではないかと思うくらいのものもありました。
また、型だと量産的なイメージもあるかとは思いますが、職人さんの手で一つづつ摺られていく様子を見れば、たとえ同じ柄でも一点物には変わりなく、また職人さんによっても色の濃さや摺り方でそれぞれの個性が出てくるそうで、一枚一枚に想いが込められていることにかわりはないのだなと、改めて感じました。
さて、研修旅行ブログ第一弾はここまで。
なのですが、ちょっと余談を…
こうやって工房見学などさせてもらっている中で、職人さんや作家さんのお話を聞いていると、皆さんとても目がきらきらされていて、お若いなと。
これは私の実感で、研修を受ける中で私が一人思ったことなのですが、
一つのことに対して追求し、もっとよくするにはと常に探究心を持たれているからなのか、皆さんとてもきれいな目をされているなと思いました。
その目の輝きが作品にも反映されているような…目は口ほどにものをいう…。
私も、そんな探究心を忘れず、キラキラな瞳で年を重ねていきたいななんて思っておりました。
こんな感じでしめてしまいましたが、研修ブログ第二弾もお楽しみ!!