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無料きもの着付教室|岡山・倉敷・津山・四万十市・高知の着物専門店、紀久屋

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紀久屋スタッフブログ

コートと衿元
2018年11月14日
朝晩が冷え込むようになると、そろそろコートを準備しなくてはという気持ちになります。
洋服屋さんでも定番のものから流行りの形•色のものなど、ずらりと並ぶ季節。
着物も、お出かけの際にはコートがかかせない時期になってきましたね。
着物のコートは“紅葉が色づき始めた頃から着る”と言われているので、まさに今から。

そんな中、この季節になるとコートについてのお問い合わせをよくいただきます。
何のお問い合わせが一番多いのかと言いますと、ズバリ「衿のかたち」。
コートは羽織とは違い、衿の型が大きく分けて7種類もあります。
今回はお問い合わせの多いコートの衿について、
最近の傾向とともに、それぞれの衿のかたちとその特徴をご紹介しますね。

1.道行衿(みちゆきえり)
衿あきを四角にして、衿を額縁のような形につけたもの。
前をスナップボタンで留めるので、体にぴったりと合うようなシルエットが特徴です。
「道行」の名の通り、旅行などのお出かけからフォーマルまで、幅広く着て頂けるため、
実は、少し前まではこの衿型が7割以上を占める定番でした。
特にフォーマルな場で使われることが多く、
結婚式や披露宴などの礼装で、無地やぼかし、絵羽模様などいろいろと着られています。

2.都衿(みやこえり)
道行同様衿あきを四角にするが、角を曲線にして仕立てたもの。
衿のカーブがとても柔らかい印象を与えてくれます。

3.道中衿(どうちゅうえり)
着物のような打ち合わせになった衿のもの。
道中着はお洒落コートのひとつで、普段着使いの着物に気軽に羽織って頂けるコート。
無地やぼかし、上品な小紋柄であればセミフォーマルまでいけるので、幅広く使えます。
脱ぎ着しやすいとの理由から定番になりつつあるコートであり、
衿が身頃の裾まで付いているのが特徴。
ただ、やはり道行よりもカジュアルな印象ではあるので、フォーマルよりは
小紋や紬などの上に合わせていただいた方がいいかもしれません。
衿の種類としてさらに2種類。着物と同じように広衿・バチ衿があり、
バチ衿だと内側に折り込まないでそのまま着用出来るので、
より着やすいと言われる方もいらっしゃいます。
通なコーディネートを楽しみたい方には紬や小紋などに合わせやすいこの道中着もおすすめです。

4.きもの衿
きものと同じような衿がついたもの。
主に普段着に羽織るおしゃれ着コートとなります。
無地やぼかし、上品な小紋柄などであれば、セミフォーマルにも。
この「きもの衿」が最近特に人気のコートの衿型。
道中着と同様、紐で結んでとめるタイプなので、スナップボタンのものとは違い、
調節しやすく、ゆったりとご着用頂けます。
このきもの衿のコートは、着物からの仕立て替えとしても人気です。

5.被布衿(ひふえり)
七五三の3歳の被布のように、衿肩に丸く仕立てた小衿がついたもの。
こちらも、無地やぼかしならセミフォーマルにもつかえます。
また、総柄の小紋などでしたらカジュアルな着物に合わせてもいいですね。

6.千代田衿(ちよだえり)
衿付け線がなだらかな曲線になった衿。いろいろな変形型があります。
道行と同様にスナップボタンで留めるので、体にぴったりと沿うようなシルエットに。
衿元のゆるやかなカーブにより、胸元をすっきりと女性らしく見せてくれるお洒落な形のコートです。
胸元が開いて衿のラインが斜めに伸びている感じなので、
スッキリとスマートな印象になります。
衿の幅を広めに取ることで、かわいらしい感じにも出来ます。

7.ヘチマ衿
へちまのような形の衿を外側に折り返してご着用いただくコートです。
落ち着いた雰囲気があり、無地の定番カラーで1着持たれていると、
どんなお着物にも合わせることが出来ます。
厚手の生地にも合うデザインなので、防寒をメインとしたコートとしてつくるのもおすすめ。

このように衿だけでも種類がたくさんんで、
その衿元で、見え方や印象が結構変わってきます。
着物で流行りというのはほとんどないのですが、
着物のコートに関しては「道行衿」から「きもの衿」へと大きく変わってきています。
紀久屋でも、ここ何年かはほとんどの方がきもの衿に。
譲り受けた着物をコートに仕立て替えされる方も多いのですが、
その場合でも、今はきもの衿が選ばれています。

きもの衿の人気の理由ですが、いろいろと意見があるかと思います。
ひとつ大きな理由としては、やはり調節のしやすさ。
紐で結ぶタイプのものはスナップボタンでとめるものより、
体型やその日の帯に合わせてゆったりと着たり、すっきりと着たりと、調節がしやすいこと。
また、コートを着た時の見え方も、着物と同じような衿なので違和感もなく
すっきり見えるというところもポイントなのかもしれませんね。

「母から譲り受けたコートの衿が道行なのですが、道行はもう今では着られていないんですか?」
最近よくいただくご質問です。
確かに道行をお召しになっている方は以前より減っているかもしれません。
しかし、先にお話ししたように着物には流行りがほとんどありませんし、衿の型選びも好みです。
譲り受けたコートは基本的に道行という方も多いかと思いますが、
その衿だから着れない…なんてことはもちろんありません。
道行の衿が好きで選ばれる方もいらっしゃいますし、
やはりフォーマルのときには道行にすつという方もいらっしゃいます。

それぞれの衿に特徴があり、着物と合わせた時の衿元の見え方は、大きなポイントになります。
衿の選び方で、柔らかくみせたり、すっきりスマートにみせたりと、
着物全体の表情が変わってくるので、ご自身の見せたい雰囲気や合わせる着物との相性で選ばれるといいかもしれませんね。