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無料きもの着付教室|岡山・倉敷・津山・四万十市・高知の着物専門店、紀久屋

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紀久屋スタッフブログ

季節の変わり目こそ、先人の教えを
2018年04月09日
上着を脱いで、軽やかなおしゃれが楽しめる季節になりました。
 なるべく下半身はあたたかな状態のまま、上半身から薄着にしていくのが、春先に体調を崩さないコツだそうです。

季節に合わせてヘアスタイルも軽くしたいと思い、美容院に行ってきました。美容師さんに頭髪診断をお願いしたところ、「だいぶ地肌が痛んでいます。栄養が行き届いていないので、髪がやせてきていますよ」と言われてしまい、大ショック! サラサラのストレートヘアだけが、昔から密かな自慢だったのに……。
 たしかに、出産後は髪質が変わって、コシがなくなったなと感じてはいました。
 あるいは加齢によるものかもしれませんが……。 

年嵩の知人に相談したところ、柘植の櫛と椿油がいいと教えてくれました。
 どちらも日本では万葉の時代からおなじみのヘアケアグッズ。
 柘植の櫛は静電気がおきず、地肌に適度な刺激があるので、ブラシよりもいいとか。
 椿油は使っているトリートメントやリンスに数滴混ぜて、いつも通りに使うと、髪の艶がよみがえるのだそうです。
 椿油を染み込ませた柘植の櫛でとかせば、さらに効果的。 
 
インターネット上では、100円ショップで売っている天然木の櫛を、オリジナルで柘植風にする方法、なんていう情報まで紹介されています。
 何日間かオイルを染み込ませると使い込んだような色になり、使用感も遜色ない、とありました。
 柘植の櫛の人気は、今も昔も変わらないのですね。

 実家にあった鏡台の引き出しをのぞいてみると、祖母が使っていた古い櫛が出てきました。何十年も前のものですが、歯もこぼれておらず、充分に使えそうです。

 わたしの記憶の中の祖母は、いつも家のことと畑仕事に一生懸命で、自分の髪型などは気にしないような女性でした。
 でもそのころの祖母の齢に近づいてきた今、果たして本当にそうだったのだろうかと疑問がわいてきました。
 髪をツヤツヤにするトリートメントはもちろん、大した娯楽もない時代です。
 祖母は日々鏡台に向かい、椿油を染み込ませたこれで、丹念に梳っていたのでしょう。
 どんなことを考え、どんな毎日を過ごしていたのでしょうか。
 今のわたしのように、少しずつ聞こえてくる老いの足音にビクビクしたり、それを打ち消せるかもしれない情報に一喜一憂したのかもしれません。
 あるいは子育てや嫁姑の悩みに胸をいためていたのかも……。 
 使い込まれて飴色になった櫛を手に、自分と同世代だったころの祖母に、しばし思いを馳せました。

 ヘアケアだけに限らず、年を重ねるにつけ、このような原点回帰の志向が強くなってきた気がします。

 一番変わったのが、衣類の素材への意識です。
 以前は、たくさんの選択肢がある中、深く考えずに安価な合成繊維を選びがちでした。
 巷に流行しているあたたかい下着をひと揃い買い求めたこともあります。
 ところが長時間着ていると蒸れているような感覚になり、汗をかいてかえって冷えるようになりました。
 結局いまは、下着を含めてほとんど天然繊維100%のものを身につけています。
 綿、絹、麻、ウールなどの昔からある素材は、合成繊維に比べると、少々値ははりますが、心地よさは比べ物になりません。
 汗をかいても通気性がよいので、季節を問わず着られます。
 天然繊維を交互に重ねて着ると、空気の層が身体を包んでさらに温かく過ごせます。
 これは、綿の肌襦袢とお腰、絹の長襦袢と着物を重ねる着物の着方。
 洋服の心地よさを追求していったら、意図せず着物と同じところに着地したのです。
 着物は日本人の理にかなった着衣なのだと、改めて気づかされました。

 食の好みも変わりました。
 若いころは気にせず食べていたファストフードをまったく受けつけなくなり、魚や野菜を好むようになりました。変わらず好きなのはお米やパン、麺類などの炭水化物。
でも40を過ぎると、甘いものを食べないようにするダイエットよりも、炭水化物を制限するのが一番効果的なのだそうです。
 そこで食事はまず野菜から食べてお腹を満たし、炭水化物やたんぱく質は後から摂ることにしました。
するとごはんの量は自然と半分くらいに減り、少しずつですが体重が落ち始めました。
体重が落ちると、着物を着付けるときに一番わかります。腰紐の長さが変わったり、合わせが深くなったり。全体的に着やすくなり、着姿もすっきりしてきます。この調子で無理せずゆっくりと、肉襦袢を薄くしていくことが目標です。

 これからは万物が芽吹く時期。心身の働きが活発になりますが、一方で、自律神経も乱れがちに。
 胃腸を助けてくれる山芋やきのこ、香り豊かな柑橘類や三つ葉など、気の巡りを促す食材がおすすめです。
 それから忘れてならないのがわかめ!わかめは3月~5月が旬。水揚げされたばかりの春わかめは、肉厚で香り高く、塩蔵する前の生の状態で食べられるのはこの時期だけです。食品のなかでもヨウ素の含有量がとびぬけて高く、甲状腺ホルモンの働きを助け、自律神経の交感神経を刺激するため、代謝が促進されます。つまり、太りにくく、肌、髪、爪などを美しく保てるということです!

身体によいものを効率よく食べる。上質のものを身に着ける。
 欲のおもむくままだった若いころにはできなかった、自分で自分を管理することが、年を重ねてきた今だからこそ、できるようになりました。先人の教えや原点を回帰しながら、無理のない速度で、自分らしい道を見つけていきたいですね。