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無料きもの着付教室|岡山・倉敷・津山・四万十市・高知の着物専門店、紀久屋

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紀久屋スタッフブログ

それぞれの着物の魅力
2018年12月03日
もし生まれ変わったとしても、同じ相手と結婚しますか? 
 11月22日の『いい夫婦の日』にちなんで、こんなアンケート調査が発表されました(明治安田生命が既婚男女を対象にインターネットで実施。1620人が回答)。
 気になる回答は、42.6%が「必ず結婚する」「たぶん結婚する」。「(同じ人と)結婚しない」は22.1%だったそうです。  注目したいのは、男性の49.1%が結婚すると答えたのに対し、女性は36.0%にとどまったこと。
「夫婦円満」と考える男女は75.3%いましたが、夫を「運命の人」 と考えている奥さんは、それほど多くないのですね。
 夫とリビングにいるときに、たまたまこのニュースがテレビで流れてきました。が、なぜかお互いひと言も発せず、スルー(苦笑)。
 夫がどう思っていたのかはわかりませんが、わたしは、今の子どもたちと巡り会うためなら、迷わず同じ選択をすると思います。
 ちまみに、夫婦円満に必要なもの(男女計、複数回答)は、「よく会話をする」が69.6%で最も多く、「感謝の気持ちを忘れない」(57.3%)、「相手を尊重・信頼する」(54 .2%)。
 配偶者に言われたい言葉のトップは、男女とも「ありがとう」という結果となりました。
 日々の雑事に埋もれている「ありがとう」。改めて掘りおこし、習慣づけしていきたいなと思いました。
 
 NHKの連続テレビ小説『まんぷく』を楽しみに見ています。
安藤サクラさん演じるヒロイン福ちゃんの服装は、第二次世界大戦が終わり、モンペ姿から洋服に変わりました。一方、松坂慶子さん演じる母親の鈴さんは、初回からずっと着物を着ています。
落ち着いた色目の紬に白い割烹着姿。高めに襟を合わせたきっちりした着付けで、いかにも「武士の娘」だったことを思わせます。
そんな鈴さんが、着物を売ってお金にする場面が出てきます。
 はじめは大事な着物を売りたくなくて、こっそり隠していたのですが、いよいよ食べるものに困り、とっときの結城紬を300円(現在の価格では約10万8千円)で、 そしてついには母親から受け継いだ黒留袖を500円(現在の18万円)に換えるのです。
 この時代は、こうしてたくさんの女性が、泣く泣く着物を手放していったのでしょう。
 以前、親戚のおばあちゃんから戦時中の話を聞いたことがあります。
あるとき偉い軍人さんの奥さんを自宅に泊めてあげることになったそうです。奥さんは他の人と同じような粗末なモンペを履いていましたが、その下にそれは見事な留袖を着ていたのだとか。
 当時のおばあちゃんは二十代前半で結婚したばかり。お百姓さんの家に生まれ育ったので、そんなきれいな着物を見たのは初めてだったそうです。軍人さんの奥さんがそれをモンペの下に着こんでいたことにもびっくりしたと言います。  
 「身に着けていれば、空襲で焼かれることもないし、いざとなれば売ることもできる。今考えると、いつ何時どんなことがあるかわからないという切羽詰まった気持ちだったんだろうねえ」。   
 おばあちゃんは御年96歳。大正、昭和、平成、四つの時代を生き抜こうとする今でも、畑仕事に精を出す働き者です。
 箪笥には若いときに着た着物がたくさん詰まっています。もう着る機会はないかもしれないけれど、ときどき着物を取り出して眺めるのが楽しみだとか。
 「あの奥さんの留袖みたいに上等な着物はないけど、一枚一枚、買い揃えたときや着たときの思い出が詰まってるんだよ」。
 一般的には、「箪笥の肥やし」といわれる着物のポジション。
でも、おばあちゃんにとっては、自分の生きてきた道をたどる大切な道しるべなのです。

  80年代伝説のロックバンド、クィーンのボーカリストであるフレディマーキュリーを描いた映画『ボヘミアンラプソディ』が大ヒットしています。 
劇中、フレディが艶やかな長襦袢を、ガウンとして羽織っている姿が印象的でした(ロンドン在住の日本人ビンテージディーラの方が提供したようです)。
 自宅に作らせた日本庭園で鯉を飼うほど日本びいきだったフレディ。学生のときはアートやグラフィックデザインを専攻し、ステージや撮影の際には、衣装としてたびたび着物を着ていました。来日した際は、着物について芸者さんを質問攻めにしたとか。
 彼にとっての着物は、自分をよりアーティスティックに見せるための衣装であると同時に、心を癒すアイテムだったのかもしれません。
 ロックスターから農家のおばあちゃんまでを魅了する着物。それぞれの関わり方で、自分なりの楽しみ方ができるのは、着物ならではなのかもしれません。

 まもなく気ぜわしい年の瀬がやってきます。 大掃除や年賀状の準備の手を止めて、箪笥の中を一度じっくり眺めてみませんか。綺麗にしてあげなければならない着物や帯たちがいるはずです。蘇ってくる思い出のように、着物や帯もいつまでも美しくありたいものです。

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