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無料きもの着付教室|岡山・倉敷・津山・四万十市で無料着付け教室をはじめ女性の美と健康をプロデュースする大人の女性のためのお店、紀久屋。

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紀久屋スタッフブログ

手ぬぐいから見る世界
2018年10月20日
早いもので、今年も残すところ2ヶ月あまりとなりました。
今年もあと70日と思うと、何となく気ぜわしく、あれもこれもすませておかなくては…という焦りが出てきます。
年齢を重ねるごとに、時間は早く感じるようになりますね。

毎年この時期になると、来年のカレンダーはどんなものにしようかと思いをめぐらせます。
今年は月の満ち欠けがわかるものを選びました。
毎晩、その夜の実際の月と見比べて、そろそろ新月だから星がよく見えるかなぁとか、
今日は空気が澄んでいるからお月さまがきれいだなぁとか、夜にささやかな楽しみがあります。
同じく、毎年この季節に準備しておきたいのが、来年の手帳です。
この仕事についてから重宝しているのが『きもの手帳』(発行:株式会社PR現代)です。
着物の基礎知識や知っておきたいマナー、二十四節気の着こなしなど、
着物に関わることがコンパクトに日々の生活に落としこんであります。
より着物が身近に感じるようになるので、着物好きの方にはオススメしています。
ご興味のある方は、お店にお問い合わせくださいませ。

さて、話は変わりますが、先日100円ショップをのぞいていたら、
手ぬぐいの柄が豊富に揃っていてびっくりしました。
青海波(せいがいは)、麻の葉、七宝(しっぽう)などの伝統的な模様はもちろん、
焼き芋、アルパカ、フラミンゴなど、カラフルでポップなデザインのものもたくさん!
気の知れた友人へのプレゼントを包むために、ラッピング用紙を探していたのですが、
今回は、ちょっと食いしんぼうの彼女のために、おにぎり柄の手ぬぐいで包んであげることにしました。

手ぬぐいは、一時期ハンカチやタオルに比べて活躍の場が少なくなっていましたが、
実はその機能性や装飾性の高さからまた見直されてきているのです。
ハンカチやタオルに比べて吸水性・速乾性・凡庸性が優れているだけでなく、
性質上清潔を保ちやすいので肌荒れの改善にも効果があるなどとも言われています。
また手ぬぐいならではの和柄の美しさやかわいらしさから、
プレゼントに贈っても喜ばれるアイテムとしてお年寄りから若い人まで幅広く人気を集めています。
100円ショップにも登場しているのですから、それだけ需要があるということですね。

私自身も何年も前から、外出時にはハンカチの代わりに季節に合わせた柄の手ぬぐいを使っています。
吸水性、速乾性に優れていて、そして何よりかさばりません。
着物を着ているときは、バッグに一枚、そして袂にも一枚しのばせています。
袂から手ぬぐいを出す仕草もなかなか乙なもの。
食事のときは、膝にかけたり、食べこぼし汚れを防ぐために襟元から帯〆にはさんだりと重宝します。
カジュアルな装いで、半襟として使うこともあります。
遊び心ある大胆な柄襟も、手ぬぐいなら気軽にチャレンジできますね。

結局この日は、さらにお相撲さん柄、サンマ柄、にぎり寿司柄など、計8枚を購入。
100円とはいえど、綿100パーセント、肌触りもよく丈夫なので、
ミニクッションカバー、ティッシュケースに変身させようかと思っています。
わたしがどの柄にするか迷っている横で、金髪碧眼の女性が、
さまざまな手ぬぐいでカゴをいっぱいにしていました。
日本のお土産としては最適なのでしょう。

フランスを旅行したとき、田舎のお城を観に行き、終バスを逃してしまったことがあります。
オロオロしていたところ、見ず知らずの親切なおばさまが、最寄りの駅まで車で送り届けてくれました。
英語が通じなかったので、別れ際につたない「メルシー」とともに、
たまたまバッグの中に入っていた手ぬぐいを渡したところ、おばさまの目がキラキラと輝きました。
茄子紺色の大輪の鉄線(クレマチス)が全面に描かれた手ぬぐいでした。

友人の中に、ブータンの男性と結婚した女性がいます。
子どもを出産し、しばらく日本で暮らした後、旦那さまの国に永住することになりました。
出国する際には、日本の季節を描いた手ぬぐいを4枚プレゼントしました。
ヒマラヤの麓ブータンの気候は、日本とはだいぶ違います。
手ぬぐいサイズの額を持参し、季節ごとに入れ替えて、日本を思い出してくれているそうです。

ブータンの民族衣装をご存知ですか?
男性のものが「ゴ」、女性のものは「キラ」といって、日本の着物とよく似ています。
丹前のような長い着物を、腰ではしょって裾の長さを調整し 、「ケラ」という帯で結ぶのです。
着物との大きな違いは、ブータンではほとんどの人がその民族衣装を着ているということ。
学校の制服としても、仕事や畑仕事のときも着用するのです。
それもそのはず。公の場では民族衣装を着ることが国民の義務とされているのだとか。
外国人である彼女もなるべくキラを着るようにしていて、
「街中で着崩れて困っていたら、知らないおばさまが直してくれた」とのこと。
今では完ぺきに着られるようになり、洋服と比べてもまったく不自由を感じないそうです。
SNSでアップされる彼女のページは、民族衣装姿の親戚や近所の人びとの写真でいっぱい。
老若男女問わず、入れ代わり立ち代わり人が家に訪ねてくるので、
食事は家族の分だけでなく、常に多めに用意しています。
娯楽らしい娯楽がない中、ほとんどの休日は、家族や友人とピクニックをして屋外で過ごすのだそうです。
日本にいたときより日焼けした顔で、いつも微笑んでいる彼女の写真を見るたび、
いろんなことを考えさせられます。

GNH(国民総幸福量)世界一を誇るこの国と、私たちの国との違いは何なのでしょう。
答えはわかりませんが、やはり「幸せ」の感じ方、考え方もあるのかなと。
何に重きを置き、どこに幸せを感じて生きていくのか…。
そして、その中で民族衣装のあり方、どう残していくかを、
私はわたしで、日本人として、一人の人間として、
“着物”とどう携わり、向き合っていくのか、そんは根源的なことを改めて考えるときでもあります。
ただ着物をおすすめするだけでなく、そこに込められている精神性をお伝えして、
日本文化や日本のよさを継いでいくなど、まだまだわたしにもできることはありそうです。
改めて、背筋が伸びる思いがしました。