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無料きもの着付教室|岡山・倉敷・津山・四万十市・高知の着物専門店、紀久屋

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紀久屋スタッフブログ

送り火とカルチャーショック
2018年08月18日
立秋を過ぎたあたりから、なんだか急に秋を思わせるような涼しい風がふきだしましたね。
最初は“台風の影響かな”なんて思ったりもしましたが、そのようなこともなく、
まだ朝晩は涼しく、さらに日中も前より過ごしやすくなりました。
涼しくなってくれたことは嬉しいのですが、この気温差に体がついていきません…
なんていうのはわがままでしょうか。
しかし、また来週からは最高気温、最低気温ともに上がるため
このまま秋になってくれるわけではなさそうです。
まだまだ油断はできないので、体調管理にはお気をつけくださいね。

さて、先日はお盆でしたが、帰省されたり旅行にいかれたりされましたか?
私はお墓参りに行ったり、迎え火を焚いたりと“ザお盆”を過ごしました。
IMG_8036.JPG迎え火や送り火には地域差などがあると思いますが、私が衝撃を受けたのは長崎県。
全国的にも有名なようで、知っている方もいるかもしれませんが、
私は先日たまたまテレビで見て知りました。

長崎の「精霊流し(しょうろうながし)」
毎年8月15日に行われる精霊流しは、盆前に死去した人の遺族が
故人の霊を弔うために手作りの船を造り、船を曳きながら街中を練り歩き
極楽浄土へ送り出すという長崎の伝統行事です。
盆提灯や造花などで飾られた船は精霊船(しょうろうぶね)と呼ばれ、
故人の霊を乗せて、「流し場」と呼ばれる終着点まで運びます。
各家で造られる船は大小様々で、材料は主に竹、板、ワラなど。
長く突き出した船首(みよし)には家紋や家名、町名が大きく記されます。
船の飾り付けには故人の趣味などを反映させたり、
町内合同でもやい船を出したりと、8月になると細部の飾り付けにまで
こだわった様々な造りかけの船が路上に多く見られるようになります。
そして、当日は夕暮れ時になると町のあちらこちらから
「チャンコンチャンコン」という鐘の音と、「ドーイドーイ」の掛け声。
さらに、耳をつんざくほどの爆竹の音が鳴り響き、行列は夜遅くまで続きます。

爆竹?!とテレビをみて思わずなってしまいました。
でも、映像では本当に行列とともに、止むことなく爆竹が町中に鳴り響き、
それはもはやお祭りのようでした。
町中で行うこともあり、通行止めなどの交通規制が行われているのをみていると、
本当にその土地に根付いた大切な儀式であるのだと感じます。
大量の爆竹は、その時期になると花火屋さんやスーパーで売られていて、
盛大に送りたいという家では、一家で40〜50万円分くらい買っているところもありました。
爆竹以外にも、花火で送る家もあったり…。
ちなみに、長崎では精霊流し以外でも、
お盆の墓参りのときにお墓で花火をするのが定番だそうで、
夕方くらいからお酒やお弁当を片手にしばらくお墓で過ごし、
ロケット花火や爆竹を鳴らすそうです。
もはや「カルチャーショック」の一言ではおさまりません!

でも、同じ日本でそこまで違う文化が昔からしっかりと根付いてされていることを
全然知らなかったんだな…と、そんな自分に驚き、少し寂しくなり、
でも今回知れて嬉しいなと、テレビをみながらいろんな感情がぐるぐるとしていました。
まだまだ他の県でも知らないことはたくさんあるのだと思うと、ワクワクしてきます。

長崎のこの精霊流しは、長崎の公式観光サイトにも掲載され、
実際観光に来る方がいるくらいの大きな行事となっています。
行く時の注意として、爆竹が鳴り響くために、耳栓が必須。
そして、煙もあるのでハンカチも必要なんだそう。
言葉で伝えきれない「精霊流し」の雰囲気はこちらをご覧ください。
→「長崎市公式観光サイト(精霊流し)

爆竹や花火でお祭りのようにとっても派手に送る精霊流しですが、
そうは言ってもやはり亡くなった人を弔う行事。
精霊船を見ながら「あら、◯◯さんとこのおじいちゃん亡くなったんだね…」と、
誰かの訃報を知ることもあります。
また、送る人たちにとっては、やはり亡くなった人への感謝の気持ちを精一杯込めたり、
自分の心の中を整理したり、この日からのこされた者として新たな人生を生きてゆく…
そんなとても大切な節目になっているようでした。

精霊流しは、爆竹の激しい喧騒のなか、
華やかさの裏に故人を偲ぶ思いが入り交じる、とても不思議な時間。
思えば、悲しさや切なさの間を埋めるように爆竹を鳴らしているのではないか、とも感じます。


皆さんの地域ではどのような送り方をされていますか?
どんな方法、どこの地域などに関わらず、
そこに込める想い、故人を偲ぶ心は変わりないですね。